現役看護師が考える、終末期看護(ターミナルケア)のポイントや大切にしていること

こんにちは!miyoRiです。

今回は、終末期看護(ターミナルケア)の際、私が大切にしていることや、実際に行なっている看護ケアについて記事を書きたいと思います。

終末期看護(ターミナルケア)と聞いて、皆さんがどのようなイメージを持っているでしょうか?

医師や看護師など医療従事者の方は、もちろんご存知だと思います。
ですが、医療従事者ではない人からすると、なんだそれ?と疑問に思うのも当たり前です

終末期看護(ターミナルケア)とは、「余命が残りわずかになった方に対し、残りの人生を穏やかに過ごすことを目的に行う医療・介護的ケア」を指します。

余命の短い患者さんやその家族が抱える身体的・精神的苦痛をなるべく軽減するケアを行うことが、終末期看護(ターミナルケア)の目的となります。

次に、「終末期」とはどのような意味を持っているかご存知でしょうか?
社団法人全日本病院協会による終末期の定義は以下の通りになっています。

【終末期の定義(1~3の3つの条件を満たす場合)】
①医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
②患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
③患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること

https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/161122_1.pdf

文章にすると、少し難しいですね。

簡単に述べると、「終末期」とは、人生の最期を迎える前の期間を指します。

つまり、終末期看護(ターミナルケア)において、私たち看護職は「患者さんやその家族が、身体的・精神的苦痛をなるべく軽減できるように関わり、残された時間を大切に過ごすことができるよう支援を行なっていく」必要があります。

さて、ここからは私が終末期看護(ターミナルケア)の際に大切にしていることや、実際に行なっている看護ケアを紹介したいと思います。

終末期看護(ターミナルケア)において大切にしていること

①患者さんを1人の人として尊重すること

これは当たり前のことだと思いますが、強調したくあえて書きました。

死が近づくにつれて、患者さんの意識は徐々に薄れていきます。

意識のない患者さんに対しても、「今日担当看護師の〇〇です。」と伝えたり、「今から体温を測っていきます。」「これからお身体を綺麗にしていきますね。」など声がけを行うことは大切だと考えています。

死の直前まで、「聴覚」は残っていると言われています。
患者さんが安心して看護ケアを受けることのできるように、1人の人として関わることを私は大切にしています。

②患者さんの苦痛を軽減すること

終末期の患者さんは、体の痛みや辛い気持ちを訴えることが多いです。後述しますが、終末期の患者さんには様々な苦痛が存在します。

看護師は、患者さんの痛みや不安な気持ちに寄り添うことが求められます。

しかし、実際私が終末期看護を行う中で、これは一番難しいことだと思います。
死を受け入れられてない患者さんやご家族と関わることは非常に難しく、時には、患者さんが死への恐怖から怒りが生じ、その矛先が看護師に行くこともあります。

その中で、私は患者さんの様々な苦痛を軽減できるよう、患者さんの気持ちを受容し、死を受け入れ残りの人生を自分らしく過ごせるよう関わりを行なっています。

③患者さんやご家族の意思決定をサポートすること

終末期看護(ターミナルケア)では様々な選択が求められます。

例えば、最期をどこで迎えるか(自宅や病院など)などです。

看護師は、患者さんやご家族が意思決定を迫られている際、どの選択が最良であるのかサポートすることが大切です。

また、ご家族への支援も非常に重要になります。ご家族にとって、終末期は最愛の人を亡くすことに繋がり、心理的に大きな負担がかかるからです。

看護師は、終末期を支えるご家族の思いも傾聴し、関わりを行なっていくことが求められます。

④看護師自身のメンタルケアを行うこと

終末期看護(ターミナルケア)は、患者さんとの別れを支援する過程であり、ケアを行う看護師にも大きな負担がかかります。

私は、終末期看護(ターミナルケア)を行う際、自分の辛い気持ちを人に共有しています。同期や先輩など、様々な人に自分の思いを打ち明けながら、患者さんやご家族と日々関わりを行なっています。

数日前までは話のできていた人が、どんどん意識が薄れていき、何も話さなくなってしまう、ということは看護師にとっても辛い出来事です。

自分の辛い気持ちを心に閉じ込めず、患者さんと関わって嬉しかったことや悲しかったことは他のスタッフとも共有していきましょう。

終末期看護(ターミナルケア)における看護のポイント

終末期看護(ターミナルケア)における看護のポイントを説明する前に、まずは終末期の患者さんが抱える苦痛について説明をしていきたいと思います。

終末期の患者が抱える苦痛について

終末期の患者さんには「身体的な苦痛」「精神的な苦痛」「社会的な苦痛」の大きく3つの苦痛が生じると言われています。

そのため、終末期看護(ターミナルケア)では患者さんに対し、大きく分けて3つのケアを行います。

  • 身体的な苦痛を和らげる看護
  • 精神的な苦痛を和らげる看護
  • 社会的な苦痛を和らげる看護

それでは、1つ1つの看護について詳しく見ていきましょう。

①身体的な苦痛を和らげる看護

身体的な苦痛として、患者さんがよく訴えていることは「体の痛み」や「息苦しさ」です。

看護師は、患者さんの痛みを軽減できるよう、医師の指示のもと鎮痛剤を患者さんに投与したり、息苦しさに関しては酸素投与や吸引を行うなどの関わりをしています。

特に痛みに関しては、患者さんの一番側にいる看護師が情報をキャッチしやすいです。
患者さんの抱える苦痛を解決できるよう、医師や薬剤師など他職種につなげていくことが大切になります。

②精神的な苦痛を和らげる看護

死を受け入れることは非常に難しいことです。

しかし、残された限りある時間を患者さんが悔いの無いよう過ごしていくために、看護師は患者さんの精神面へのケアも欠かせません。

死への恐怖やストレスからせん妄や不眠になってしまう患者さんもいます。

患者さんの気持ちを受容し、家族との時間をなるべくたくさん作ることが、精神的な苦痛を和らげる看護として大切になります。

実際、私は清拭(患者さんの体を温かいタオルなどで拭き、綺麗にすること)など家族と一緒に行える看護ケアは、一緒に行うようにしています。

家族と患者が触れ合う時間を作り、その様子を見守ることが看護の1つと考えているからです。

③社会的な苦痛を和らげる看護

死が近づくにつれて、患者さんは自分の体が思う通りに動かなくなってしまいます。

身辺整理やお金のこと、残された家族(子供など)のことなどが不安になり、患者さんは社会的にも様々な苦痛を抱えることとなります。

看護師は、ソーシャルワーカーなど多職種と連携を行い、患者さんが社会的な苦痛を和らげることのできるよう関わりを行なっていく必要があります。

実際、私は、身辺整理を自分で行いたいという患者さんに出会ったことがあります。その患者さんは酸素投与をされていましたが、まだ体が動ける時期にソーシャルワーカーと連携を取り、自宅に退院できるよう社会福祉を整えた経験があります。

④家族への看護

終末期看護(ターミナルケア)を行う上で、家族へのケアも欠かせません。

先述しましたが、家族にとって、最愛の人を亡くす、ということはとても辛い出来事です。
残された時間を患者さんと過ごしていただけるよう関わりを行なっていくことが大切です。

そして、家族の精神面もサポートする必要があります。家族が思いを打ち上げる場を作ったり、家族の気持ちを傾聴することも看護師の関わりでは重要になります。

特に、終末期は長引くこともあり、1週間、1ヶ月と家族は緊張の場で過ごしていることも少なくありません。
「お身体辛く無いですか?」「夜は休めていますか?」など家族を労う言葉がけを行うことも大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

終末期看護(ターミナルケア)は正解のないものであり、出会う患者さん・ご家族の分だけ様々な関わり方が考えられます。

その中で、「相手(患者さんやご家族)を大切にする気持ち」が一番重要だと私は考えています。
患者さんやご家族が残された人生を、自分らしく生きられるよう、サポートを行うことが看護師には求められます。

最期の時まで、1人の人として尊重し、患者さんが生きた人生に思いを馳せながら、看護ケアを行なっていくことが大切です。

終末期看護は、看護師にとっても辛い経験となります。患者さんとの別れに向かう過程を支援するからです。

この記事を読んだ皆様が、少しでも終末期看護(ターミナルケア)に興味を持ち、その現場に出会った際の看護ケアの参考にしていただけると幸いです。

それでは今日はこの辺で。ありがとうございました☺︎

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